みなさんこんばんは。
このブログは,月成の退団発表後から書き始めて,やっと完成しました。
今夜は新月なので,あまりふさわしくないですが,月成の事を書こうと思います。
少し前に月成の引退が発表されました。
月成 大輝選手 現役引退のお知らせ | 鈴鹿ポイントゲッターズ
ホーム最終戦に,月成のご両親が来ていたので,少し覚悟はしていました。
でも,やっぱり発表されたときは,頭の中が真っ白になりました。
晩ご飯を食べても,紙粘土を食べているようでした。
なんか実感が沸かない・・・それほど長く苦楽を共にした選手でした。
ナカニシが月成のプレイを最初に見たのは,2016年の三重県社会人サッカー選手権の古川電工三重戦です。
もちろん,それ以前に練習には合流していたと思いますが,大学生の新卒の月成は,ちょっと合流が遅れていたと思います。なので,ナカニシはそれまで練習の月成を見ていません。
この試合で印象的だったのは,月成のキックの精度と,そのボールの弾道です。
真横からカットするように足を振ると,ホップするような独特の弾道の球が飛びました。
イチローのバックホームのような高精度のキックを,後にナカニシは「レーザービーム」と例えました。
そして,そのキックだけでなく,ボールへの反応や,ディフェンスラインを後ろから支える足元の技術など,トータルで素晴らしいゴールキーパーでした。
同時期に鈴鹿に所属した,岡田明久選手と良いライバルでした。
岡田選手は,良くしゃべり,社交的で明るい感じでした。
月成は,ちょっと大人しくて,恥ずかしがり屋でした。
2人はバチバチのポジション争いをしていましたが,互いにゴールキーパーとしてリスペクトしあう関係になっていきました。
月成の鈴鹿での出場は,2016年からこれまでの6年間で,44試合です。
平均して1年間に約7試合。
この数字は,決して多くはありません。
月成は,ベンチにいることのほうが多かったゴールキーパーです。
ゴールキーパーというのは,試合中にほとんど交代しません。
そして,試合毎に交代することもほとんどなく,ポジションをコンバートすることもありません。
そんな中で,いつ来るか分からないチャンスのために,集中を切らさずに待つのは,とてつもなく強い気持ちが必要だと思います。
それでもサポーターは月成が大好きでした(もちろんナカニシも)。
なぜなら,みんな知っていたんです。
月成がベンチにいても,試合に出られなくても,強い気持ちを持ち続けていることを。
月成が試合に出る時のために,刃のように自分を研ぎ澄ましていることを・・・。
2016年。
鈴鹿は市原で最後の最後にヴィアティンに敗れてJFLに昇格できませんでした。
その最後の試合のゴールを守っていたのは,月成ではなく岡田明久選手でした。
2017年。
鈴鹿は全社を優勝し,地域CL1次ラウンドに進出しました。
1戦目2戦目共に,鈴鹿は敗れて決勝ラウンドに進むことはできませんでした。
そして,月成は決勝ラウンド進出の望みの絶たれた後の,3戦目に出場しました。
2018年。
この年の正ゴールキーパーも,前年同様,曵地選手でした。
一度,鈴鹿を退団した岡田明久選手がスタッフ?として戻ってきており,さらに高宮大輔選手が加入していました。
曵地,月成,高宮,岡田。
この4人が鈴鹿のゴールを「全員で」守っているようなゴールキーパー陣でした。
リーグ戦ではずっとベンチにいた月成が,地域CL1次ラウンドで突如スタメンで出場しました。当時の辛島監督の抜擢です。
なんとしても勝利せねばならない2戦目のアルティスタ浅間戦。
2対1の鈴鹿リードの試合終了間際,相手のヘディングシュートは月成の逆を突き,ゴールの中へ・・・しかし!
それを左手1本?指一本?でかき出したのが月成です。
その時のサポーターの絶叫は忘れられません。
(その瞬間,ナカニシは腰が抜けてスタンドのベンチに挟まってました)
ずっと出場機会が無く,試合勘を失った選手にこんなプレイができるか?
月成にはできた!
月成は「その時」のために自分を研ぎ澄ましていた!
ほんの少しのチャンス。それを月成が掴んだ瞬間でした。
地域CL1次ラウンドを守り切った月成は,決勝ラウンドでもゴールを守りました。
JFL昇格の勝利の瞬間。グラウンドでゴールを守っていたのは・・・月成大輝でした。
サポーターのところへ挨拶に来るとき,月成は曵地に肩を支えてもらっていました。
月成は涙が止まらず,ちゃんと歩けなかったからです。
サポーターから声が出ていました「月成,泣くなー。」
なかなか試合に出られなかった月成が,見事にゴールを守ってくれました。
2019,2020,2021シーズン。
ミラ監督はゴールキーパーを固定しなかったため,順番に出ている感じでした。
それぞれに特徴のあるゴールキーパー陣でしたが,キックに関しては月成の精度が一番だったと思います。
月成が出場すると,サポーターは凄いキックでカウンターが発動するに違いないと,ワクワクしていました。
みんな月成が大好きでした。
いろいろなことがありました。
辛いことも,苦しいことも,悔しいこともあったでしょう。
でも,月成は自分を磨き続けることを止めたことは,一度もありませんでした。
砂粒でピラミッドを作るように,毎日毎日練習しました。
いつでも試合に出られるように,良い準備を続けました。
怪我もしました。
怪我から復帰の練習試合の時は,満月でした。
満月の夜は,月成に良く似合いました。
ナカニシは満月を見たら,必ず月成のことを思い出します。
月成は今年で引退するそうです。
いつか覚えていませんが,月成が話していたのを聞いたことがあります。
「自分はどこへも行かない。鈴鹿で引退したい」
その言葉を聞いたときに,ナカニシは胸が苦しくてなりませんでした。
あかん。やっぱり悲しい。
「アレオレ鈴鹿の月成」
このチャントの通り,月成は,鈴鹿の月成でした。
月成がJFLに昇格させてくれたチームを,サポーターが守っていきます。
いつでも鈴鹿のスタンドに来てください。
君は僕たちのヒーローです。
月成の前途に幸多きことを祈ります。
ツキ!また会おうぜ!絶対な!