VictoryCross

アトレチコ鈴鹿クラブ(JFL)のサポーターブログです。

JFL第20節 対 Honda FC

みなさんおはようございます(現在,朝の6時)。

 

昨夜帰宅してから,4時までYouTubeで試合を見ていて,2時間寝てからブログを書き始めました。

頭の中が,昨夜の試合で一杯なので寝てられません。

なんって試合をしてくれたんだ!

 

ただ,1夜明けて,冷静になるとナカニシ自身は反省で一杯です。

 

人には「応援お願いします」と言ってるくせに,自分自身は十分な応援が出来ていませんでした。

申し訳なさと,恥ずかしさと,居たたまれない気持ちです。

 

後半は呆然としていて,声が出ていませんでした。

持っていた旗も振っていません。

ただただ,ただただ,祈っていただけです。

階段も転げ落ちて,歓喜のサポーターの仲間に迷惑を掛けました。

 

全然ダメでした。申し訳ない。

 

カニシがヘロヘロの状態でも,応援は途切れずに続きました。

カニシが諦めかけた時も,応援は激しく続きました。

コールリーダーの選手たちを鼓舞する声は止まりませんでした。

 

カニシだけじゃありません。

たくさんの人が応援してくれていれます。

本当に心強い応援でした。

みんなありがとう。ありがとう。ありがとう。

 

 

 

・・・はい!

反省終わり!

 

 

 

さあ!

うちの選手たちを見てくれ!

讃えてくれ!

賞賛の拍手を送ってくれ!

ほめて,ほめて,ほめ倒してくれ!

 

まだまだ嬉しくてハイテンションな,ナカニシの変なブログが始まるよ!

 

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金曜の仕事が終わり,帰宅する。

翌日が試合。

その準備を黙々とする。

横断幕を積み込みながら,食事をしながら,お風呂に入りながら,

試合のことが頭にずっとある。

正直に言って,良いイメージが出てこない。

 

今日の対戦相手は,Honda FC(以下,ホンダと書きます)

現在,JFLのダントツ首位。

7連勝中。4月から13試合負け無し。

JFL史上最強のチーム。

堂々と「王者」と呼ばれるのはホンダだけ。

 

今シーズンの前半戦の全ての試合の中で,ナカニシの思う「鈴鹿が何もさせてもらえなかった試合」をした唯一のチーム。

その試合で鈴鹿は0対4で完敗している。

ただの0対4の敗戦じゃない。もっと失点していてもおかしくなかった。

勝てないと思った。

それほどコテンパンに負けた。

 

試合会場に到着する。

アウェイにもかかわらず,たくさんのサポーターが会場で待っていてくれる。

心強い。

 

都田のグラウンドコンディションは最高。芝が絨毯のように揃っている。

そして観客席も近い。

長い間,ここで良いサッカーをしてきた歴史が感じられる。

 

横断幕を掲出する。

2011シーズンから2年間,鈴鹿でプレイした天野裕太選手が応援に来てくれる。

久しぶりに会ったけど,ますます良い漢になった。

天野選手,応援ありがとうございます。

 

試合の準備ができた。

心をしっかりと持つ。

全国の全ての人がホンダの勝利を予想していても,鈴鹿のサポーターだけはうちの選手を信じて応援したい。

 

カニシの心が騒ぐ。

この試合が終わった時,自分はどうなっているのだろう?

どんな気分で,暗い夜道を帰るのだろう?

 

勝つぞ―――!

と大きな声で叫ぶが,それは自分自身に言っているようなものだ。

心を整えろ。

強い気持ちを。

選手と共に。

 

さあ行こうぜ!明日めざし!

 

いくぜ!

 

本日のスタメン(以後敬称略)

FW 7三宅海斗

MF 14鈴木翔太・6小野寺亮太・10中村健人・16有馬和希・28三好辰典

DF 24山下宇一・5平出涼・2中村俊貴・25藤山恭輔

GK 1阿波加俊太

 

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試合開始。

 

なんと,鈴鹿のフォーメーションは,4-5-1。

中盤のMFは中村健人(10)を中心に5人横に並ぶ。

ホンダは綺麗に揃った4-4-2。

 

鈴鹿のこのフォーメーションは始めて見る。

練習試合でも見たことが無かった。

 

ホンダはいつもどおり,ポゼッション(支配率)を増して,連動しながら鈴鹿ゴールに迫る。

ホンダの強さは全体がひとつの生き物のように連動する連携。

カニシ的には,バルセロナポゼッションサッカーが一番ホンダのイメージに近い。

フィールド上の圧が凄い。

ボールの無い所でも全員が動いている。

 

前半5分。

ペナルティエリアの目の前で鈴鹿がファウル。

直接狙える距離。

センターバックの中村俊貴(2)の激しい声が聞こえている。

ゴールキーパー阿波加俊太(1)の声も出ている。

鈴鹿の選手全員が声を出している。

良い集中だ。

良い雰囲気だ。

フリーキックのピンチは,枠を捕らえられずなんとか防ぐ。

 

前半開始から,ホンダが圧倒的にボールを支配。

ホンダは良く動き,良く走る。

 

しかし,鈴鹿の選手たちの気迫もスタンドまでビンビン感じている。

誰1人休むことなく,走りに走っている。

抜けた感じが全くない。

集中が研ぎ澄まされている。

 

センターバックの右,「鬼俊貴」,中村俊貴(2)

この困難な試合で,俊貴の存在は山のように大きい。

この試合,90分のうち85分はディフェンスをしていた。

俊貴は守りに入るのではなく,攻撃をしているかのような前向きなディフェンスをしていた。

強い。鬼の俊貴がいつもより怖い顔をしている。

前半は鈴鹿の守備が目の前で行われている。

俊貴の裂帛の気合が届いている。

ホンダの飛び出しに対して,体を入れてノーファウルで潰す。

試合はまずディフェンスから入る。

俊貴のディフェンスは良い感じで入った!

俊貴。頼むぞ!

 

鈴鹿は2人のセンターバックと,3人のボランチでしっかりディフェンス。

そして,戦術は「超」の付くほどの徹底したカウンター。

そして・・・

 

前半10分。

三好辰典(28)がカウンターで走り抜けようとしたところをファウルで潰される。

リスタートで有馬和希(16)から,早いパスが鈴木翔太(14)へ。

鈴木翔太が,早いパスの勢いを利用しながら,神ターン!凄い!

ターン1発でホンダディフェンスを交わし,左サイドに進入。

中へ鋭いボールを入れる。

三宅海斗(7)がディフェンスを引き付ける。

2人のホンダディフェンスの間に突っ込んできたのは・・・三好辰典だ!

ゴーーーーーーール!!!1-0

この試合,殊勲の先制ゴールは三好辰典。

ゴールを決められずに苦悶したフォワードが最高の笑顔で価値ある先制点を叩き出す。

どんちゃん騒ぎのサポーター。

マジ?マジ?入ったの?

(ナカニシは最初,藤山恭輔がゴールしたと思った。こめん。)

ナイスゴール三好。YouTubeで50回くらい見たよ。

 

サイドハーフの,「ハヤブサよりちょっと早い」,三好辰典(28)

今日の鈴鹿のカウンターの中で,三好のハイスピードがホンダの脅威になっている。

ハヤブサのような勇敢なプレイ。そして周りを止まっているかのように見せる超スピード。

カニシは三好を最初に見た時,フォワードに必要な炎の心を持った選手だと思った。

夏の厳しい練習で,一番研ぎ澄まされたのは三好かもしれない。

いつも良い所へ飛び込んできてた。

いつも走って良いプレイをしていた。

だけど点が取れなかった。

この試合は三宅海斗(7)の1トップ。

前線に人が少ない分,三好の動ける範囲が広い。

単独突破,単騎突入,孤軍奮闘,上等!

前線全てが三好のプレイエリア。

三好の動きは後半40分の交代まで,ずっとずっと光り続けていた。

ホンダディフェンスにブロックされてもお構いなしで,シュートもバンバン打っていた。

ホンダ戦で三好のゴールが見られただけで,涙が出そうになる。

いやいや,まだ前半10分。

三好!ここからだ!

 

先制点の見事なアシストをしたのは,

サイドハーフ,「リトルマジシャン」,鈴木翔太(14)

ボールを触るだけで,相手の前からボールを消してしまう翔太。

そのプレイのキレは,ホンダのディフェンスも手を焼いていた。

前線で走る三宅海斗(7),そして右から飛び出してくる三好辰典(28)。

それを見ながら,鈴木翔太も左で起死回生の一撃を狙う。

しかし,鈴鹿が先制した後,より一層ホンダの圧力が強まり,鈴木翔太もサイドのディフェンスに翻弄される。

ここで足を止める訳には行かない。

攻守に走りつづける。ボールを見ている余裕はない。

ホンダの動きを自由にさせちゃいけない。

鈴木翔太の前半は我慢のプレイ。

試合は2対8で支配率を奪われている。

全体を見て,まずはディフェンスから。

 

鈴鹿はマンツーマンの対人でマークすると,ホンダの選手の動きを捕まえきれないので,どちらかというとゾーンで守っている。

これも鈴鹿にすると割と珍しい。

 

4-5-1と言う慣れない形

あんまり見た事の無いゾーンのディフェンス。

それがいきなり機能しているのは,試合のど真ん中に中村健人(10)がいるからだ!

 

ボランチの中央,「キャプテン」中村健人(10)

中盤を何とか整えているのは,我らがキャプテン中村健人

この試合,鈴鹿のクリアボールを危ない場所で奪われることは無かった。

健人,有馬,小野寺のボランチ3人がしっかりとセカンドボールに寄せていたため。

そして健人は,ACミランで言うとピルロの位置にいる。

レジスタのような形で,中盤の底から攻守を切り替えてゲームを組み立てる。

(ナカニシはレジスタの健人もとてもカッコいいと思う)

ディフェンス後のボールを確保し,前線に繋ぐ。

健人のパスは恐ろしく正確だが,今日の健人のパスは精度よりも球出しの早さを重視しているように感じる。

鈴鹿が攻勢に出ても,ホンダはディフェンスも硬い。

鈴鹿は残念ながらパスではホンダを崩しきれない。

健人がボールを触って,攻守の切替を早くし,ホンダの守備が整う前に,カウンターの一撃を早く出す。

受けるのも出すのも,ディフェンスするのもポジション取りが絶妙に上手い。

予言者のように,いて欲しい所にいる健人。

さすが,さすが健人!

 

鈴鹿ゴールキーパー,「パーフェクトGK」,阿波加俊太(1)

鈴鹿は良いディフェンスをしているが,シュートは何本も打たれている。

鈴鹿ディフェンスがブロックするものの,次々と飛び出してるホンダの選手が思い切りよくシュートを放つ。

ディフェンスの穴を埋めるかのように,阿波加もペナルティエリアから飛び出してヘディングのクリア!

鈴鹿は11人の全員守備でなんとか防いでいる。

前半の半ばには,ホンダのクロスボールをヘディングで完璧に合わせられるが,阿波加の超反応でゴールを守る。

鈴鹿は押されているため,コーナーキックやセットプレイが増えている。

サポーターが祈る。

阿波加。阿波加。

みんなのゴールを守ってくれ。

 

前半の給水タイム。

やっと4分の1が終わった。

攻められっぱなしで,時間が経つのが遅い。

それでも,ディフェンスは今シーズ一番集中している。

フワッとしたところが無いどころか,ビンビンに張り詰めている。

 

ホンダの攻撃が続く。

カニシの主観的な見方だが,ホンダの強さは,とにかくチームが統一した意思を持っているように動けることだと思う。

そして,それを実現するだけの技術と,練習が詰まっている。

連係の中でも,パスを出したら走るという,基本的なことを,フィールド全員が徹底してやり切ってくる。

徹底して出して走るホンダ。

ボールの無い所でも意思統一の出来ているホンダ。強い。強すぎる。

足を止めたら,少しでも見落としたら,一瞬でも気を抜いたら・・・

ホンダは鈴鹿のゴールを奪うだろう。

 

ボランチの,「大先生」,有馬和希(16)

前半を見た人は,有馬が目立ってていないと思ったかもしれない。

いやいや。それは全く違う。

ボールを支配されている鈴鹿

しかし,ホンダはシュートを打てるバイタルエリアへ侵入ができなかった。

有馬が徹底してパスコースを切った。

2列目からの飛び出しを離さなかった。

細かく細かくステップして足を止めない。

1対1で一度も抜かれずに止めた。

全てのプレイが試合を左右する有馬のビッグプレイだ。

前半,どれだけ押されていても鈴鹿の中盤は崩れなかった。

ホンダが何度もバックパスで鈴鹿の穴を探していた。

有馬はホンダを中盤で自由にしない。

有馬。見事。

素晴らしい献身的なプレイ。

この試合を支え続けた有馬に乾杯!

 

前半の終盤。

ボール支配率は変わらず2対8。

しかし,ホンダも攻めあぐねている。

 

鈴鹿1点リード。

手元の時計を何度見ても時間が過ぎない。

鈴鹿の時間は本当に少ない。

その少ない攻撃チャンスで,三好辰典(28)や三宅海斗(7)が奮戦している。

 

鈴鹿の中央付近は,2バック3ボランチで抑えている。

しかしサイドをやられると,引き摺り出されてマークのずれを狙われる。

ホンダに動きながらプレイされると怖い。

なるべく足を止めさせるために,ボールの無い所でも駆け引きが続いている。

 

右のサイドバック,「モンテネグロスプリンター」,藤山恭輔(25)

数的不利を作られないため,一番効果的なのは運動量。

誰にもほめてもらえないかもしれないけど,運動量は決してウソをつかない。

鈴鹿はディフェンスの時間が多い。わずかな攻撃時には,一瞬だけ一息入れて,ラインを整え次のディフェンスの準備をする。

しかし,恭輔は鈴鹿のカウンターの攻撃時には,ディフェンスから一気に走って攻撃参加している。

超カウンター戦術。それでも走る。それでもサイドバックなら攻撃参加する。

走って汗をかいて仲間を助ける。それが藤山恭輔。

複数の選手で攻めるホンダに対しても,敢然と立ち塞がる恭輔。

抜かれない!抜かせない!絶対に負けない!

サポーターの目の前でプレイする。

サポーター,背中を押せ!背中を押せ!

恭輔には応援が聞こえている。

恭輔の頑張りに応えろ!

この試合,めちゃくちゃ走った藤山恭輔。

得点もアシストも記録に残っていない。

だけど,試合後に一番いい笑顔だったのは恭輔だった。

グー!

 

ホンダが攻めあぐねている。

鈴鹿のゴール付近まで攻め込んでも,後ろに戻して組み立て直す場面かある。

鈴鹿は潔いくらい徹底してカウンターに特化。

先制点を取って,ここまでは鈴鹿の狙い通り。

鈴鹿のディフェンスがどこまでホンダを止められるかが勝負。

選手もサポーターも同じ事を言う。

集中!

集中!

集中!

 

鈴鹿のカウンター攻撃の中心は,エース三宅海斗(7)。

ワントップなので,当然マークもキツイ。

それで海斗なら何とかしてくれると,選手たちのターゲットは三宅海斗。

ホンダのディフェンスも海斗を潰せば,鈴鹿の攻撃の手数が減ることを分かっている。

激しく削られる海斗。足を掬われ,引っ掛けられ,吹っ飛ばされる。

海斗,我慢だ。ガマンだ。

ゴールでやり返してやろう。

 

前半41分。

小野寺亮太(6),中村健人(10)とつなぐ。

テクニシャンの2人がボールに触ると,鈴鹿の攻撃にリズムが出る。

中村健人から,三宅海斗へのホットラインがつながる。

海斗へのホンダのマークは3人。

鋭く一歩踏み出す。

ボール1個分のシュートコースができた!

バズーカのような爆発音!

虹の糸を引くような弾道!

ドカン!!!

ゴーーーーーーール!!!2-0。

カニシは,遠いサイドから見ていたので,ゴールネットがぶち破れて裏の植木の所まで飛んで行ったかと思った。

何と言う完璧なシュート。

何と言う決定力。

凄まじい弾道と威力。

 

歓喜の渦でめちゃくちゃになるサポーター。

(この時点で,ナカニシは旗を振るのを忘れてた。ごめんなさい。)

 

ナイスシュート!

ナイスシュート!

三宅海斗最高!

 

なんと2点をリードした鈴鹿

しかし,ホンダの攻勢はさらに強まる。

1点でも返されたら一気に流れが傾く。

ホンダに流れが傾けば,一気に逆転される恐れもある。

 

その時!

三好辰典(28)の単騎突入カウンター!

惜しくもホンダディフェンスに止められたが,三好がホンダディフェンスに圧力をかけることで,ホンダの重心を完全に前にはしない。

 

三好。めっちゃ良いやん。

 

ここで前半終了

 

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ハーフタイム。

 

前半終了時に叫ぶ。

前半戦は4失点したんだ。

忘れるな!

 

2点のリードなんか,一瞬でひっくり返されるぞ。

このまま。

このまま。

 

支配率は圧倒的にホンダ。

サポーターの所まで圧力が来るほど攻められている。

あと45分。

長い長い45分。

 

言葉が無い。

じっと祈るしかない。

 

みんなで笑って帰りたい。

なんとか。

なんとか持ってくれ。

 

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後半開始。

 

ホンダの猛攻から始まる。

 

ホンダは試合終了間際くらいのモチベーションで一気に押し出す。

さらに,より一層,足を止めずに中へ中へと走ってくる。

ホンダは前半と同じ戦術。

しかし,走る量がより多く感じる。

さらに押される鈴鹿

 

カニシは手元の時計を見る。

まだ2分しかたっていない。

時間が経つのが遅い。

 

前半3分。

ホンダに右サイドを突破され,中へ折り返し。

中で折り返しのパスを受けたホンダの選手のシュートを,平出(5)と俊貴(2)がブロックに行く。

しかし,ホンダは無理な体勢からでも強引にシュートを打ってくる。

鈴鹿のシュートブロックに当たったこぼれ球を押し込まれて失点。

2-1。

 

まだ1失点だ!

やることは変わらない。

集中。集中。

中村健人(10)が激しく競り合う。

有馬和希(16)が一歩前に出てコースを切る。

中村俊貴(2)が,小野寺亮太(6)が,平出涼(5)が。

鈴鹿の全員が,全力でホンダのプレッシャーに立ち塞がる。

 

前述のとおり,この試合の行われている都田グラウンドは,JFLのアウェイの中で,ナカニシが一番好きなグラウンド。

夏の熱い時期にも,ナイターで試合開催できるのは本当に羨ましい。

しかし,現地観戦していたサポーターは気が付いたかもしれないが,ナイター特有の照明のため,ハイボールが上がるとライトの届かない黒い夜空にボールが溶け込んでしまい,照明の当たるところで急に出現する錯覚がある。

鈴鹿の選手はナイター照明に慣れていない。

 

後半10分。

ホンダは鈴鹿の左サイドから,フワッとしたボールを中に入れる。

ゴールキーパー阿波加俊太(1)がパンチングで飛び出すが,目測を誤り後ろに逸らしてしまう。

名手,阿波加のこんなプレイはナカニシ始めて見た。

たぶん,暗い空に紛れて一瞬ボールを見失ったのだろう。

そのボールを押し込まれて失点。

2-2。

 

後半10分間で2失点。同点。

残り試合時間は30分以上残っている。

 

やること変わらないぞ!

サポーターからも声が出ている。

やることが変わらないというより,鈴鹿はホンダに対してこれ以外のやり方が無い。

 

呆然とするナカニシ。

どうしよう。

怖い。

やはり強い。

 

ボランチの,「プレイメーカー」,小野寺亮太(6)

後半は前半以上に,ほとんどの時間が鈴鹿陣内。

鈴鹿のプレイの中心となる小野寺のポジションを少しでも上げたい。

小野寺もよく分かっているので,ドリブルでボールを運ぶが,ホンダの激しいタックルで潰されてしまう。

ホンダは体の使い方も上手く,タックルもノーファウルで激しく当たって来る。

ホンダは鈴鹿陣内で半円を描きながら,トリカゴ(練習でやるヤツ)のようにパスを回す。

テクニックのあるホンダから全くボールを奪えない。

それでも,ホンダの包囲網を突破するため,小野寺が狙っている。

今シーズンから加入した小野寺。

そのルーキーが試合の行く末を握る大黒柱となった。

小野寺,大変な試合になったが,攻守共に頼む。

何とか頼む。

ガンバレ!

 

さらに激しさを増す試合。

 

カニシの声が出ていない。

じっと見入ってしまう。

試合から目が話せない。

あと1点欲しい気持ちと,首位と引き分けなら十分の気持ちがせめぎ合う。

なんとか!なんとか!勝ちたい。でも・・・負けたくない。

 

後半21分。

(OUT)10中村健人 ⇔ (IN)21桑原海人

 

鈴鹿のフォーメーションは,4-5-1から,3-4-3へシフト。

 

すぐに飲水タイム。

 

残り4分の1。

カニシはずっと祈っている。

声を出すと震えてしまい歌にならない。

立っているのがやっと。

手を握りしめて祈る。

頼む。

頼む。

頼む。

 

ホンダは強い。

守り続けても,守り切れないかもしれない。

試合開始から綱渡りだったバランスを崩してでも,フォーメーションを変更。

 

試合は残り20分。

鈴鹿は3-4-3にスムーズに移行。

マークのズレも無く,ホンダを鈴鹿ゴールに寄せ付けていない。

 

3バックの左,「山下一番」,山下宇一(24)

これまでの鈴鹿の3バックは,3人のセンターバックだった。

しかし,この試合のフォーメーションチェンジ後の3バックの左の山下は,ウイングバックの裏へのフォローが早かった。

これだけの緊迫した試合。

ディフェンスはゴール前で固まってしまう場面もある。

しかし,山下はそれでもフレキシブルに動き,3人のセンターバックでありながら,2人目のサイドバックとしてサイトにも大きく動き続けた。

ホンダを恐れずに動く。動き続ける。

体を張る。球際で負けない。

山下の1つ1つの動きが大きな意味を持つ。

山下。

ナイスプレイだ!

 

ホンダの選手交代が行われる。

勝負に出て来た。

もし,疲れが出てパワーのバランスが崩れたら,一気に行かれる。

フォワードの三宅海斗(7)は,何度も足首を削られ痛めている。

 

鈴鹿陣内で試合が続く。

鈴鹿はホンダのトリカゴの中。

ただ,トリは鳥でもハヤブサが走り抜ける。

ハヤブサよりちょっと早い三好辰典(28)が元気に動いている。

左に入った桑原海人(21)が硬い守備と,的確な押し上げで魅せている。

少しでも押し戻さないと,ホンダが鈴鹿ゴールに到達してしまう。

 

後半31分。

(OUT)14鈴木翔太 ⇔ (IN)17八木橋俊介

 

攻守に渡って走りつづけた鈴木翔太が交代。

前線で体を張れるマッスルな八木橋(17)が入る。

八木橋!ガンバレ!

 

支配率は圧倒的にホンダ。

相変わらず,パスを回されまくっている。

しかし,鈴鹿の集中は切れていない。

誰1人サボっていない。

頼む。頼む。

 

中村俊貴(2)が大きく飛び出してボールを競り合う。

俊貴(2)も山下(24)同様,センターバックに収まらずに前に出てプレイしている。

これ以上,引いたらやられる。

苦しみながらも,1㎝でもディフェンスラインを上げる。

穴があればやられる。みんなでその穴を徹底的に埋める。

 

桑原海人(21)がサイドを突破して,三宅海斗(7)へ!!!

惜しくもオフサイド

実のところ,鈴鹿がホンダの陣内に入るのが珍らしいくらいになって来た。

 

綱渡りのディフェンス。

抜け出したホンダの攻撃陣を阿波加俊太(1)が飛び出して止める。

阿波加ありがとう。

 

残りわずか。

鈴鹿に攻撃の糸口が見つからない。

引き分け?

なんとか守り切れ!

 

後半40分

ペナルティエリアより少し外。

絶妙な位置のフリーキックをホンダに与えてしまう。

前半のフリーキックは,距離が近かったため枠に行かなかったが,この位置はまずい。

ホンダのフリーキックはバー直撃。

跳ね返ったボールを押し込まれて失点。

2-3。

 

歓喜のホンダの選手たち。

ホンダからは割れんばかりの歓声。

 

・・・ダメだと思った。

カニシは負けたと思った。

すまない。

 

諦めたわけじゃない。

だけど,力が入らなかった。

すまない。

ごめん。

 

ただ,ただ,試合が終わるまで,選手を応援し続けるしかないと思った。

そして,試合が終わったら,よく頑張ったと選手を励ましてあげようと思った。

こんなに頑張った。

こんなに耐えた。

こんなにこんなに走った。

前半戦よりもずっと強くなった。

 

それでも・・・ホンダは強い。

それでも・・・勝利は遠い。

 

後半40分。

(OUT)28三好辰典 ⇔ (IN)19藤山雄生

(OUT)6小野寺亮太 ⇔ (IN)26縄靖也

 

よく頑張った三好と小野寺が交代。

ミドルシュートの打てる縄。

前線で体を張れる点取り屋の雄生が入る。

 

時間が刻一刻と過ぎる。

今度は時間の流れが早い。

あっという間にアディショナルタイム

 

この試合,ずっとずっと鈴鹿のゴールを守り続けていた男の中の男がいた。

誰よりも責任感があり,誰よりも勝利の大事さを知っていた。

鈴鹿センターバック,「ディフェンスマイスター」,平出涼(5)

ホンダの攻撃をことごとく防いだ。

仲間に指示を出し,失点はしたものの,完全に崩されたという失点はない。

地味で,無口で,恥ずかしがり屋。

平出は髪の毛一本まで試合を諦めていなかった。

 

AT4分のうち2分が経過。

 

八木橋が右サイドで粘ってコーナーキックを獲得。

カニシはスタンドに這いつくばって祈っている。

鈴鹿が必死で掴んだ、コーナーキックのチャンス。

後半AT2分。

有馬和希(16)の蹴ったコーナーキックの弾道を・・・,

完璧なヘッドで決めたのは,,,

妖精の羽があるかのようにフワリと空中で捕らえたのは・・・

そこには平出がいる!

ゴーーーーーーール!!!3-3

 

なんと!

なんと!

ななんと!

この土壇場で平出が決める!

 

(ナカニシはこのあたりから,もう試合終了まで記憶が無いので,この後は,試合後にサポーターに聞いたか,YouTubeで見たことになります)

 

値千金のゴールに対する仲間の祝福もそこそこに,ダッシュで戻る平出。

この時点で,引き分け狙いで時間を使う選択肢もあった。

平出は,まだ勝利を諦めちゃいない。

引き分けじゃない。

勝利を。

勝利を。

勝利を。

時間が無い。

早くリスタートを。

 

残りのATは1分を切った。

秒の勝負!

 

選手たちが見ているのは・・・誰だ?

まだ・・・まだ・・・希望が残っている。

 

鈴鹿フォワード,「言葉は不要」,三宅海斗(7)

マークが厳しかった。

削られ,転ばされ,潰された。

強敵の中の強敵。王者ホンタ。

鈴鹿サポーター以外で,鈴鹿が勝つと思ってた人は何人いるだろうか?

2点先制から,逆転された。

後半のアディショナルタイムに平出(5)のゴールで同点。

3対3でナイスゲームという人もいるだろう。

サポーターの目は海斗を見ている。

選手の目も海斗を見ている。

海斗がいる限り終わりじゃない。

海斗がなんとかしてくれる。

海斗なら決めてくれる。

90分間,フォワードの大きなエリアを走り回った。

疲れているだろう。

足も痛いだろう。

それでも頼む。海斗!

 

AT4分に入った。

残り時間は無い。

左から桑原海人(21)が持ち込んでくる。

藤山雄生(19)が中で競り合い倒されるがノーホイッスル。

溢れたボールを雄生が右に流す。

このタイミングで,そのパスコースが見えているのか!雄生!

右で待っていたのは・・・三宅海斗(7)

ここで三宅海斗!

海斗が落ち着いてホンダディフェンスを振り切る。

そして,角度の無いところから左足を一閃!

なんと言う事だ!

なんと言う事だ!

階段を踏み外して滑り落ちるナカニシ。

足が立たない。

もう何にもわからない。

音も聞こえない。

周りも見えない。

本当に入ったのか?

そんなことあるのか?

ゴーーーーーーール!!!4-3

遠い所から誰かのかすれた声が聞こえる。

鈴鹿サポーターはほとんどノドが潰れている)

まだまだ,まだまだ終わってないぞ。

 

涙が止まらない。

もう立つこともできない。

声にならない。

 

頼む。

頼む。

頼む。
ガンバレ!

 

そして試合終了

 

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両チームの選手のみなさん,スタッフのみなさんお疲れさまでした。

たくさんの方が,鈴鹿の応援をしてくれました。

カニシが大変不甲斐なかったのですが,みなさんのおかげで応援が続けられました。

応援していただいたみなさん,そしてコールリーダーの2人,本当にありかどう。

 

試合後にトラメガ棒を持ってきましたが,もうそんな落ち着いて話せる状況じゃなかったので,使いませんでした。

 

コロナ過でずっとできなかった,勝利後チャントの完全版が初めてできました。

さあ行こうぜ・・・の所で,肩を組んで,右左に揺れます。

アレアレッオー・・・の所で,ジャンプします。

藤山雄生選手と,有馬大先生が踊ってくれました。

みんなで歓喜の輪を作れました。

 

試合後にも,天野裕太選手が来てくれました。

応援ありがとうございました。

サッカーが人と人とを繋いでくれます。

また会いましょう!ガンバレ!

 

この試合では,三浦監督のお父さんのご不幸に際して,選手たちが喪章を付けて試合をしました。

サポーターも,喪章のリボンをつけて応援していました。

こんなブログの場ではございますが,ご冥福をお祈りします。

 

 

 

試合後に,選手たちのバスを見送り,帰路に付きました。

暗い夜道を走りながら,ずっと試合のことを思い出していました。

最高に楽しい時間でした。

 

この試合のVictoryCross賞ですが,

めちゃくちゃ悩みました。「全員」と書きそうになりました。

でも,ナカニシの独断で1人を選びます。

この試合のVictoryCross賞は,三宅海斗選手(7)です。

見事過ぎる2得点でした。

最高のゴールでした。

ナイス!ナイス!ナイス!

 

3代目のコールリーダーが,試合後にポツリと言いました。

「サッカーは分からん。全然分からん。」

 

カニシも同感です。

全然分かりません。

だけど,分かっていることもあります。

サッカーが分からないからこそ,応援したくなるということです。

こんな試合を見せられたら,もっともっと応援したくなっちゃいますね。

 

勝利はもう昨日のことです。

次の試合は始まっています。

また来週がんばりましょう。

 

だけど・・・,

 

カニシはもう一回YouTube見ます。

 

みんなと流すための,うれし涙。

最高です。

 

ではまた。

 

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(今後の試合)

JFL第21節 9月16日13:00 対 クリアソン新宿@三交スポーツの杜

JFL第22節 9月23日 14:30 対 ティアモ枚方たまゆら陸上競技

JFL第23節 10月1日13:00 対 マルヤス岡崎@AGFグラウンド

 

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